知的所有権の私的行使

ドナルド C、クラーク

ワシントン大学ロースクール、

 

この論文は、中国重慶市で1998年9月16-18日に行なわれた「知的所有権と経済開発に関する米中会議」で、ワシントン大学ロースクールのドナルド C、クラーク教授が講演された際に使用されたものです。同教授の許可を得て、全文を下記のとおり日本語に翻訳しました。この論文の原文はhttp://www.nbr.org/ipr/cqconf/clarke-paper.htmlにあります。(訳者、今道幸夫、1999年3月6日)

 

緒 言

過去20年に亘って、中国が知的所有権の保護の ために立派な法律と制度を確立した。しかし、これらの法律は、中国国内及び中国国外の知的所有権者の満足を得るほどには機能していないことが知られてき た。その結果、中国は国際標準に適合しているという証拠として、法律とその実施機関が存在することを、中国政府が単に示すだけではすまされなくなってき た。それ以上の何か、即ち、新しい法律あるいは制度が約束通り機能すると信じられるような根拠が求められている。この論文は、現在行われている知的所有権 の保護についての幾つかの方策を検討し、重要な変更を提案するものである。

現在、中国国外の知的所有権者は、中国国内の知 的所有権者より強く中国政府に保護を求めている。しかし、中国国外の知的所有権者が彼らの要求を出す場、例えば、貿易経済部が合衆国通商代表と行う「政府 対政府」の交渉は、一種類の対応(行政機関による明快な行使行動)しか生み出さない傾向が構造的にある。より長期の展望を持った別の種類の権利行使システ ム、個々の関係者によって法律的に活用される集権化していない権利行使システムは、皮肉にも、このような交渉から生まれることは希である。そのようなシス テムは、政府の資金供給或いはその時々の政府の政策順位に頼らない分、政府の指導に頼っている権利行使システムより、知的所有権に対して一貫した信頼でき る保護を提供する可能性が高い。 この論文は、このようなシステムが中国に現在存在しているシステムとどのように違うのか、そしてこのようなシステムを設立させるときの幾つかの問題点を検 討する。

知的所有権者の苦情のリストは長く、そしてよく 知られている。 オゼンベルグらによって明らかにされたように、苦情には、不充分な知的所有権に関する法律、不適確で費用が高くつく法律の行使、中国政府の協力の欠如、透 明な行政及び司法手続きの欠如、地方保護主義、知的所有権に対する認識及び一般大衆の教育の欠如、司法及び行政の知的所有権担当者の知的所有権に関する訓 練と経験の欠如がある(注1)。これらの問題全てに対する単一の解決法は、もちろんない。これらは中国あるいは発展途上国に特有の問題ではない。しかし、 必要な政治的決意を生む圧力が中国国内にあれば、これらの問題の幾つかを改善できる方法はある。

権利行使のタイプ

知的所有権の分野では権利行使の方法を政治的、 行政的、私的に分けることができる。 これらの用語が何を意味するかを論じる前に、つぎのことに注意することが重要である。これらのカテゴリーの境界線は実際は曖昧であり、全ての権利行使は2 つ以上のカテゴリーの特徴を含んでいる。中国における法律と政策の関係について、少し話しておく必要があると考える。

法律と政策

中国の法政システムにおける法律と政策の相対的位置について、多くのことが書かれている。法律と政治の関係を理解する最も良い方法は、理想的な関係と比較する(その関係が他の社会で実際にあることの根拠と対照させて)ことである。

政策が法律に関連する一つの過程を簡単に述べる ことができる。 権力が法律によって制限された政府を想像しよう。その政府が目標Xを達成しようとした場合、政府は目標Xの政策を作る。政府は目標Xを二つの方法で達成す ることができる。第1は、その目標のために、既存の法律で使えるあらゆる権力を政府は使うことができる。例えば、検察官に犯罪Aの捜査には多くの人材を使 い、犯罪Bには少しの人材を使うように指示することができる。第2は、目標達成のため、既存の法律を変更することを試みることができる。提案される法律の 趣旨は政策の趣旨によって決められる。しかし、政策が実行されるのは法律の条文を通してのみである。刑法の例を挙げれば、政府は犯罪Aの罰を増やす法律、 あるいは新しい罪をつくる法律を提案することができる。

中国における法律と政策の間のラインが曖昧であ るとしばしば言われる理由として、次のような点がある。政府は法律によって効果的に制限されていないので、言い換えれば、大きな自由裁量権を持っているの で、上述した2種類の手段の間に明確な区別がない。従って、犯罪Aを撲滅しようとする政策は、そのような犯罪を捜査する人材を増やすだけでなく、より高い 刑罰を与えるように裁判所に要求することもある。それは既存の法律の条項を無視した行政指導、或いは憲法の条項を無視した法律のかたちをとる(注2)。あ る制度において、政策遂行の重要な部分はその政策を具体化した法律の実施および実行であるが、中国の制度では、このようなステップは有用ではあるが、不可 欠なものではない。

中国で法律と政策の間を曖昧にしている別の要素 として法的階層の欠如がある。これは広く理解され受け入れられている。例えば、一つの行政機関が、特定の問題についての見解あるいは意図した手続きを述べ た通知書を出した時、それが政策説明であるか、あるいは拘束力のある規則であるのかを分類することは、ほとんどの場合意味がない。詳しく言えば、その行政 機関がその政策説明あるいは規則で具体化されている政策を、どのように、その程度、実行しようとしているかを決定する際、そのような分類は役には立たな い。

政治的行使

知的所有権に関する法律、規則の実施には、与え た権利の実効性を高めるための政治的レベルでの種々の指導がともなう。これらの指導として、例えば、知的所有権に関する国務院の1994年白書がある。そ こでは知的所有権保護についての政策の重要性が述べられ、行政機関、裁判所が既存の法律、規則を解釈し実行する方法について何らかの影響を与えると思われ る。国務院が出す、もっと具体的な政策発表のかたちもある。例えば、知的所有権の保護をさらに強化する1994年の11の決定のようなものである。そのよ うな発表では、行政、立法および司法の法の実行機関が知的所有権保護のために統一、調整された制度をつくることが求められている(注3)。このようなこと は他の社会で考えられている以上に重要である。何故なら、中国では上述したように法律と政策の間が曖昧であるからである。明言された政府の政策は、正式に 施行された法律と全く同じ効果を有することがある。

行政的行使

知的所有権の第2の行使方法は行政的行使であ る。行政的行使とは、政府の職員によって起こされ、本質的に政府職員によって制御された、公安的、行政的、或いは民事的と名づけられた、侵害者に対する知 的所有権の行使を意味する。このタイプの手続きの強制力は、懲罰(投獄あるいは罰金)、あるいは補償(損害賠償あるいは不正な収入あるいは利益の没収)で ある。

中国では行政的行使が私的行使より効率的である ことが一般的には示されている。知的所有権侵害における多くの外国の権利者は、裁判所に私的補償を求める代わりに、利用可能な行政的補償を求める。理由 は、行政的補償の方が速くて、安く、そして効果的であるからである(注4)。このような状況は中国国内の権利者も同様であると思われる。しかし、行政的行 使にはその有効性を減退させる幾つかの制約がある。

第1に、オゼンベルグらが指摘したように、行政 的行使は誤ったインセンティブを受ける。行使する機関は彼等の活動費用を過度に罰金に頼るので、違反を継続させることによって公認の利息を得ようとする (注5)。第2に、行政的行使はあらゆる行政行動と同じ制限を受ける。即ち、限られた人材と腐敗と専横である(注6)。

 私的行使

私が私的行使と呼ぶ第3の方法は、法律等による 統治装置、即ち政府関係でなく、利益を求める者による、調整されていない動議を通して、政策を遂行する装置を必要とする。知的所有権の分野では、権利者の 選択によって有効に主張できる権利を設定できる法律のかたちをとる。法律は、権利者が希望するなら侵害者と交渉でき、あるいは予想し得る損害賠償額より低 い経費で、侵害者に損害賠償の支払いを強制できるようにするものである。このタイプの手続きと行政的行使との決定的な相違は、装置を機能させるか否かを決 定するのは、政府職員でなく権利者であり、大部分の費用は、国ではなく当事者が負担するということである。

私的行使の1つの利点は、行政的行使のシステム で起こる規範の希薄化を減らすということである。権威主義的な制度に付きまとう問題は、規則の対象と直接対面する下級レベルでトップの命令が実行されるこ とを確保できるかである。組織が大きくなり、トップの政策作成者と下級の政策実行者の距離が大きくなれば、コントロールの漸進的な低下が起こる。中央で指 令が実行されるのを見ている中国の政策作成者が直面している困難はよく知られている。 一般的に、政策作成者と政策実行者の間の階層が増えれば増えるほど、政策実行に対する干渉「ノイズ」は増す。

行政的行使に対して、分散した私的行使の決定的 に有利な点は、もしその制度が適切に機能すれば、政策作成者と政策実行の間の階層を最小限に減らすことができる点である。当事者は特定の問題について裁判 所に提起する。裁判所は権威と権力によってその問題を解決する。政策作成段階での官僚間の争いののち決まった政策を直接参照してその問題を、裁判所が解決 する。従って、裁判所が問題を解決するときは、政策作成者と当事者の間には、ただ一つの中間層しか存在しない。

行政的行使対私的行使

行政的的行使には問題があるにも関わらず、中国 での知的所有権の保護において、未だ有効な方法である。その理由を理解することが重要である。知的所有権の保護だけでなく全ての分野で、各当事者の動議に よる行使より、行政的行使が中国の政策遂行の有効な方法であった。これは中国という国が法制度を政府の多くの装置のうちの一つと伝統的に見ているからであ る。法制度は政府を超えたものではない。例えば、金融政策と同じように、法制度は、普通の市民によってではなく、専門家によって集権的に管理されるもので ある。

近代の中国において、この政府による直接解決へ の偏りは、政策の最終決定とそれらの実行において政府が直面した困難によって悪化したかもしれない。 1996年の論文でオゼンベルグらが指摘したように、官僚機構内の政策争いでの敗者は、勝者の政策の実行を妨害する能力をしばしば持っている(注7)。不 満がある官僚の気まぐれは中国だけに限られたことではない。しかし、政府機関の行動を支配し制限する法制度は相対的に弱く、官僚機構の敗者が勝者の規則を 無視し、自分たちの方法を続ける力は、他の多くの国より中国の方が大きい。従って、重要な政策決定が為されるとき、全ての人がのることができそして満足で きるようにすることが不可欠となる。

私的行使と関連して上記の現象を述べると、全て の人をのせるということは、その政策がどのように実行されるかについて取り引きの約束をすることが伴う。それらの約束を維持するということは、取り引きの 対象者でなく、行動を監視できない者に政策実行は任されないことを意味している。従って、敗者が政策遂行に対して影響力を発揮できる(条件が合えば、内容 に影響を及ぼすのと同じぐらい)と信じているので、敗者は政策決定と一緒に歩もうとする。明日の敗者からあるものを必要とする今日の勝者である官僚によっ て政策遂行が制御される限り、その考えは正当化される。

上述のよい例が、企業破産法(破産法)に見るこ とができる。破産法はある意味で先進的であった。即ち、中国に労働市場がほとんどなく、また雇用戸籍に縛られていない都市住民に対する社会的セフティネッ トがほとんどない時代に、赤字国営企業を閉鎖し、労働者を自活させるという政策であった。これと別の理由によって、この法律の成立は論議をよんだ。

破産法の大きな特徴は、企業を閉鎖することを政 府組織体に法律によって強いるのは困難である、と認めていることである。(古い制度で企業を閉鎖する力を常に持っていた)企業担当の政府部門から権力をと り、(閉鎖プロセスを始めることができる)債権者と(最終の決断をする)裁判所に企業閉鎖を委ねる決断をすることによって、政策目的を分散して遂行できる ようにした。

しかし、法律成立後、この法律で実際に破産が宣 告された国有企業の数は非常に少ない。その理由は、この法律は債務企業を生かし続けるより、銀行に貸し付けの損失を認めさせようとしているので、最大の債 権者である多くの銀行が、債務企業を破産させることに躊躇しているからである。しかし、重要な原因は、破産法の分散的遂行の特徴を十分に発揮するようには なっていないことである。破産法は「試行的施行のため」と言われている。そして、試みられる場所は政府が決定する。言い換えれば、企業を破産させる決定を どのような手続きで行うかを、破産法は教えてくれる。しかし、決定そのものは他のところでなされる。

私的行使の更なるステップ

私的行使はより一貫した制度的での知的所有権の行使を約束しているが、検討を必要とする幾つかの問題を含んでいる。

第一に、たとえ訴訟の当事者の責任が認められても、自力で証拠を集めるには限界がある。立ち入り禁止と考えられている公式、非公式の膨大な情報を与えれても、国外の当事者には困難があるだろう。

第二に、裁判所を通しての私的行使には、行政的行使に付きまとった地方保護主義の問題がある。この問題の解決として、中国の学者によって幾つかの方法が提案されている。

地方における司法の保護主義の主な原因は、地域 企業の財政的余裕に対する地方政府の直接的利益と、裁判所の人員と財政に対する地方政府の権力とが組み合わさっているように思われる。従って、これらの要 因が弱められ、消滅したところでは、地方保護主義は小さくなると考えられる。事実、私が数年前にインタビューした弁護士と裁判官は、中位、そして高位の裁 判所に行くに従って地方保護主義の問題は小さくなる、と言っている。そこでは地方財政との繋がりは薄くなっている。従って、価値の高い事件の原告は高い階 層の裁判所で訴訟を起こした方が勝機は高い(注8)。

裁判所の地方政府への依存を減らせば、地方にお ける司法の保護主義は減少すると考えられる。財政面において、地方政府の種々の階層からではなく中央政府から裁判所へ資金を供給すれば、この問題は解決で きる(注9)。現在中央政府は資金的に厳しいので、このような改革が実行されている形跡はない。人事面において、地方政府でなく上級裁判所が裁判官の任命 について発言すべきである。この点で、幾つかの地方で実験がなされているが、まだ限られている。

地方保護主義は直ぐには解決しないから、原告が 被告所在地の裁判所に訴訟を起こすことができるだけではなく、侵害品の販売地のような他の地域の裁判所でも訴訟を起こすことができることが重要である。太 原市の侵害者に対するチャイニーズスターというソフトの発行者が提起した訴訟において、北京高級人民法院はこのことを確認した(注10)。被告所在地或い は侵害地の裁判所の管轄権を規定し、裁判所が根拠としている民事訴訟法第29条について別の解釈をした。この決定は重要である。侵害は模倣されたときであ り販売されたときではない、と裁判所は判断した。裁判所はその地域外の侵害の主張を告訴状から除外して、北京での販売ついてのみ救済することもできた。

第三に、裁判所と行政機関は両方とも共通の問題 を共有している。彼らの命令を支える武器がない。1997年刑法第313条は、「人民法院によって為された決定或いは命令を実行できるにもかかわず、実行 を拒否する者は、3年以下の禁固、懲役、状況が深刻な場合には罰金が科される」と規定している。 これは1979刑法の対応する第157条より厳しい。第157条は、法的に有効な判決の実行を脅しあるいは暴力によって拒否すれば、3年以下の禁固、懲 役、罰金、或いは政治的権利の剥奪によって罰せられる、と規定している。しかし、完全な刑事裁判をすることなく、命令に従わなかった者に裁判所が罰を加え られることができる法定侮辱罪にはほど遠い(注11)。

知的所有権の裁判では、被告に全ての侵害行為を 裁判中中止することを要求できる仮差し止めの権利はない。裁判の遅延によって突然勝者から敗者に変る可能性のある原告は、このような手段によって被告に対 して強い立場になれる。悪用のおそれを減らすため、被告が勝ったときの被告の損害を補償する供託金が求められる。知的所有権の貿易関連における協定 (TRIPs)の第44条では、世界貿易機構(WTO)の加盟国は、このような予備的救済を行えるようにすることが求められている。このことが早急に解決 しなければならない問題であるように思われる。民事訴訟法第97条は、このような手段を認めているように読める。条件によって、判決前の行使が求められる 緊急状況のみに適用される権利行使について、条文は規定している。しかし、それを認めることを直接的に表現した条文が望ましい。

第四に、私的及び行政的行使での損害賠償額が低 い。行政的行使は十分な阻止力を発揮していない。そして、経済的に割に合わないという理由で、多くの私的行使は手控えられている。損害賠償額が阻止力を発 揮するにはあまりに低く過ぎるという国際的非難に対する中国側の回答は、商標法第40条を改正して、もっと多くの事件が刑事的捜査を受けるようにすること であった。本来、40条は、商標権者以外の者がその商標を模倣した場合のみ、刑事的捜査を行うことを認めるものであった。それを、商標を偽造または故意に よる模造品の販売について、刑事的捜査を行えるように改正された(注12)。

問題は、刑事的制裁は、それを最も使いたいと 思っている人たちに代って、政府がそれを行うことである。刑事的捜査は、多くの場合無法者に気づかせる非常に重要な武器である。警察と検察官は、限られた 資金によって、彼ら自身で優先順位を決めている。従って、刑事的制裁は、知的所有権侵害を抑える手段として、民事上の責任に代わることは決してできない。

著作権侵害の場合、個人が刑事的手続きを提起することが許される。しかし、これが知的所有権主張の主要な手段になるとは思われない。侵害の犠牲者が望んでいるのは損害賠償金とその権利が再び侵害されないという保証である。

結 論

政治的行使、行政的行使と比べると、中国政府が私的行使を知的所有権の政策実施の主要な方法として考えようとしていることを示すものは、これまでのところない。 また、中国と交渉する側も、私的行使を催促はしていない。

例えば、1995年、合衆国と中国の間で交渉された、知的所有権の有効な保護と行使のための行動計画(注13)は、本質的には権利行使の三本柱の2本のみ、即ち、政治の柱、行政の柱の強化しか求めていない。

行動計画の政治的な側面は、法律をただ通すだけ では十分でないことを認識させることである。国務院の知的所有権工作会議を通して、知的所有権の執行が行われている。その会議は、国務院の部、機関の代表 で構成されている。例えば、国家著作権管理局、公安部、外交部、、及び専利局である。行動計画の前にあった工作会議の重要な機能は象徴的である。知的所有 権の行使の問題が重要であることを、その存在は示していた。具体的には、知的所有権の保護に関係する他の機関の行動調整を、工作会議がリードしていた。

裁判所と私的行使の機構を通しての知的所有権保 護の強化に対する最良の希望は、WTO、それに関連したTRIPs協定への中国の参加である。WTOの紛争処理機構は知的所有権保護の強化を強く望んでい る人たちの努力に、拍車をかける役を果たすであろう。そして、多国間という特徴は、中国が合衆国の圧力に屈服しているという非難に対して、保護の役を果た すであろう。

裁判所制度だけか、行政的救済と組み合わせるかして、知的所有権者は彼らの役目を果たさなければならない。法的インフラストラクチャアは形式上ある。それは頻繁に使用されて命が吹きこまれなければならない。

注 釈

  1. マイケル オゼンベルグ、ピトマン ポッター 、ウィリアム アベネットの「知的所有権を推進する:情報技術と中国の経済発展」NBR Analysis 、Vol.7、No. 4(1996)、p26 参照。もちろん、これらの問題はすべての知的所有権の分野に等しく共有されているわけではない。 一般に、著作権とソフトウェアの保護が最も問題があるように思われる。商標と特許は問題リストの後の方である。
  2. 既存の法律の規定を明らかに超 越した行政命令は、国務院の1997年の追加通知である。それは、国有企業の倒産、合併、職員と労働者の再雇用についての幾つかの市における審判の問題に 関する。ドナルド クラークの「国務院通知は債権者の法的権利を無効にする」East Asian Executive Reports、 Vol.19、No.4(1997年4月15 日)pp9―15で論じられている。とりわけ、その通知は、証券法の基での権利の条件で確かな債権者を裸にする、と言明している。行政解釈において如何な る救済も設けていない。憲法の規定を越えた法と規則の一例は、中国における土地の貸し付けの最近の歴史に見ることができる。貸し付けにおける地方の試みは 認められ、憲法はそれを正式に認めるように最終的に修正された。
  3. 詳細については、シャン リュウの「中国におけるコンピュータソフトウェアの著作権の行使」、 LL.M.Thesis、ワシントン大学ロースクール(1996)、p5参照。
  4. ステファン ヘイワードの「中国: 知的所有権の実際の保護」、 IP Asia 、1994年6月30日、
  5. p6。

  6. オゼンベルグら、 上記1の文献、p21参照。
  7. この論文の目的は、行政的行使におけるすべての問題を徹底的に分析することでも、あるいは分析は有効でなく望ましくもないと主張することでもない。行政的行使と私的行使のシステムを対比するために2、3の点を単に明確にすることが、私のここでの目的である。
  8. オゼンベルグら、 上記1の文献、p16参照。
  9. 全ての問題をより高次の裁判所 が解決するわけではないが、私がインタビューした1人の弁護士は、杭州の被告に対する200,000元の事件を担当した。管轄の基層人民法院の杭州裁判所 は尋問を拒否した。弁護士は中級人民法院(基層法院の直上)に訴え、基層人民法院に尋問を命じる判決を得た。しかし、できなかった。たとえ弁護士が省のよ り高次の人民法院から直接命令を得ても、杭州人民法院はその事件の尋問を拒否した。
  10. 何年も中国のコメンテータはこの効果に対する提案をしてきた。例えば、ジャン イピンの「経済裁決における地方保護主義の問題についての考察」、深セン法制報、1990年11月14日、p3参照。
  11. チェン ジンチュエンの「”中国の星”司法権論争」中国専利、1995年5月15日、p2参照。
  12. 司法、行政の組織体が彼らの命 令を遂行するのに直面する大きな問題のひとつが――軍経営の企業の仮免除――中央政府の最近の政策によって解かれるかもしれない。1998年7月に、軍の 単位及び法政システム内の単位は、ビジネス活動を彼ら自身から引き離すことを要求する政策を発表した。 もし実行されれば、この政策は知的所有権侵害を減らす長征を始めることになる。軍によって所有されている会社及び公安部は、彼らの関係で罰を受けることな く営業することができた。しかし、軍のビジネス活動に経済的重要性が与えられた場合、新しい政策が実際に実行されるか、あるいはほとんど意味がないほど多 くの例外で薄められることになる。
  13. マイケル・N・シュレジンガー の「中国での知的所有権:第2部―権利行使における司法の役割の発展」East Asian Executive Report, Vol.19、No.3 (1997年3月15日)参照。
  14. 中日:知的所有権に関する合 意、1995年2月26日、U.S.- P.R.C.国際法資料 Vol.34、p881 et seq.(1995)(中国対外貿易経済部部長ウ イ(Wu yi)から合衆国通商代表のマイケル カンターへの書面と、付属書類 ”知的所有権の有効な保護と行使のための行動計画” から成っている。)

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